
シャルロットゲンズブールはフランスの、ベテランの域に入っていた、アンニュイな魅力が昔から人気の女優です。そしてなんと言っても、父親は伝説のフランスの音楽家、プロデューサーであり映画監督も俳優もやったマルチ天才クリエイターセルジュゲンズブール、母親はあのエルメスのバーキンの由来になったイギリス出身の歌手兼女優のジェーンバーキンです。
父親のセルジュは若くして亡くなってしまいましたが、ジェーンは健在で、様々なシーンで活躍し続けています。そんな生い立ち・ルーツもあり、シャルロットはティーンの頃から世界中から注目されて来ました。
映画「ひとりは去り、ひとりは残る」の主題歌L’un part, l’autre reste
最近日本でも、オメガの時計トレゾアのCMで使われているL’un part, l’autre reste「ひとりは去り、ひとりは残る」という曲は、2005年に公開された映画「ひとりは去り、ひとりは残る」の主題歌で、いかにもフレンチポップスというより、憂いを帯びた、シャルロットゲンズブール自身の雰囲気を良く出している楽曲です。雨の日が似合うようなしっとりした曲です。
映画「ひとりは去り、ひとりは残る」クロード・ベリ監督で、シャルロットゲンズブールも出演しています。
ストーリーとしては、ダニエルとアランはともに50代、それぞれに結婚歴もあり年も年だが、あらためて恋に落ちるがそのダニエルの相手役をやっているのがシャルロットです。
ダニエルの最初の妻、アンヌマリーの息子がバイクの事故で大怪我をしたことがきっかけで、シャルロット演じるジュデスと出会います。
ダニエルはその時の妻のイザベラと、この一件で関係が悪化していきます。結局ダニエルとイザベラは別れることになり、その事でダニエルの息子の心にキズを負わせてしまいます。
一方アランはファリダという、自分が経営するアートショップで働く若いセネガル人の女性と恋に落ちます。しかし結局妻ファニーのもとに帰ることになります。
これらの二人の恋愛を通じて、人が人を好きになるときのどうしようもなさや哀しさ、ときめきや情熱を描いている作品です。
- オメガの時計トレゾアのCMにL’un part, l’autre resteが使用される。
- L’un part, l’autre resteは映画「ひとりは去り、ひとりは残る」の主題歌。
大物スターの両親に生まれたCharlotte Gainsbourg(シャルロットゲンズブール)の苦悩
いくつも恋をして来た大人なら、胸に染みるシーンやセリフもあるでしょうし、そんなに恋をしたことがない人や、情熱的な恋愛に憧れている人には、イメージトレーニング的に役に立ったり、自分に訪れるかもしれない切ない出会いや感情の起伏を、疑似体験出来る作品と言えます。
もともと、シャルロットゲンズブール自身の両親の恋愛はかなり激しく切ないもので、ジェーンバーキンの生い立ちはイギリスの貴族で、美貌を買われモデル・女優になったものの役で演じたのはすっぱな女のイメージがイギリス国内でとれなくなり苦しくなってフランスへ逃亡するようにわたり、電撃的に出会ったのがセルジュゲンズブールで、ジェーンは彼の監督する映画の主演もつとめる。
セルジュの作った歌をフランス語で歌い大評判になり、セルジュとデュエットした「ジュテーム・モア・ノンプリュ」は、かなりセクシーな曲で当時、これを芸術とするかワイセツとするかが大議論を世界中に巻き起こしました。
そんな中生まれたシャルロットゲンズブールでしたが、ジェーンにはイギリス時代に結婚した前の夫との間に出来た長女がおり、比べられたりパパラッチに追われたりとかなりきつい子ども時代だったと語っています。顔に関しても、お人形さん顔のジェーンには似ず、セルジュの方に似たことで、世間から残念がられたり辛い思いをしています。
- 両親はジェーンバーキンとセルジュゲンズブールの一流芸能人の子供に生まれる。
- harlotte Gainsbourg(シャルロットゲンズブール)は子供のころ多くの辛い経験をする。
Charlotte Gainsbourg(シャルロットゲンズブール)が魅せる表情や仕草がL’un part, l’autre resteとシンクロする
そしてセルジュとジェーンの離婚からほどなくして若くしてセルジュが死去。そんな半生からか、フランスの女優・歌手の中でもシャルロットは非常に憂いを帯びた表情やたたずまい、歌声が特長であり、人気でもあります。
両親の奔放さを反面教師にするように、落ち着いた相手と落ち着いた結婚をし、今は幸せに暮らしているというシャルロットが、大人の女性になったからこそ表現できるものを魅せてくれる映画であり、主題歌であると言えます。
どうにも出来ない止められない恋に走り続ける母親を一番近くで見て感じてきた彼女だからこそ、恋愛感情の機微、苦しさやもどかしさを捉えられるのかもしれません。
- 両親の離婚。そして父親の死が襲う。
- Charlotte Gainsbourg(シャルロットゲンズブール)は子供のころからの経験で哀愁感のある表情や仕草が漂う。
最後に
映画も楽曲も、しっとりと大人気分で少し気取りたい時に似合う、落ち着いたものです。また、父親のセルジュ似た鼻をコンプレックスとしていた彼女が、そこから脱却した感じで、生き生きと演じているのも観ているものに幸福感をもたらします。
セルジュとジェーンの娘としてアイドル扱いされていた頃の主演映画「生意気シャルロット」とは、全く違う魅力を身に付けて大人になった彼女を堪能するのにうってつけの作品です。
楽曲は、母親のジェーンバーキンのセンシュアルではかなげな魅力の歌声を受け継いでいるようで、フランスの美意識のエスプリを感じさせてくれます。
おしゃれな作品を見たい日にゆったりと観たい聴きたい小粋な作品です。クロード・ベリ監督は美意識の高さを随所に織り込んでいて、見ごたえがあります。そして最高の曲で何度でも聴きたくなります。
また、 シルヴィー・ヴァルタンもカヴァーしています。雰囲気も変わっており興味深い作品になっています。